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ユンヂチ

沖縄に住んでいると広告などで「ユンヂチ」という言葉を目にすることがあります。数年に1度やってくるユンヂチは、ご先祖やしきたりも大切にしながら、お墓事や仏壇位牌に関する事柄を進めやすい、忙しい現代人にとって見逃せない期間です。

 

 

旧暦とユンヂチ

現在わたしたちが暮らしで使っている歴は「太陽(グレゴリオ)歴」、いわゆる新暦ですが、太陽暦が採用されたのは明治5年(1872年)。それまでは月の満ち欠けに基づいて一か月を定める太陰太陽暦、いわゆる旧暦を使用していました。

新暦は1年が365日ですが、旧暦は1年を約354日とし、新暦に対して1年間に11日の差が生じます。その差を調整するために設けられたのがユンヂチです。新暦には太陽の運行と暦のずれを補正するために「閏(うるう)年」という4年に1度2月29日が存在する年がありますが、ユンヂチは漢字に直すと「閏月」。新暦との差の調整のために19年の内に7回(約33ヶ月に1度)1年を13ヶ月にして調整します。この増えた1ヶ月をユンヂチと呼びます。ユンヂチは定まった月が決められているわけではなく、年によって7月が2回きたり、10月が2回きたりします。ちなみに旧盆がある8月が2回ある場合は、2度旧盆をやるのかと思うかもしれませんが、このようなときは最初の月に旧盆が行われ、後の月には行事は行いません。

 

あの世から目が届かない月

2度目に来る月のことを「捨て月、神無月」とも呼び、この1ヶ月間はあの世のご先祖様や神様の目が届かないとされています。通常は日取りやしきたりなど細かな決まりごとを守らないといけないことも、ユンヂチの間なら比較的自由なスケジュールで執り行うことができるため、忙しい現代人にとって好都合な期間になります。そのためユンヂチの期間に位牌の作り変えやお墓の新築、改築、改装、また仏壇の購入などを行う人が多いのです。「今年はユンヂチ」という仏具店のCMなども多く放送されるのもこのためです。

 

ユンジチとお墓作りのしきたり

ユンジチはお墓作りに最適である、とされますがユタによってはユンジチでも自分の干支の年にはお墓をつくるべきでない、などのアドバイスをされることもあるようです。そうなるとなかなかお墓が建てられないですよね。霊園墓地の中には契約後○年以内にお墓を作ればよい、という決まりが存在しますが比較的長く設定がされている場所が多いようです。ですので、次のユンジチを待たずとも霊園の契約などはすることができます。まずは霊園に相談してみましょう。

また、色々しきたりはありますが、それを重んじるあまりお墓が建てられないとなっては本末転倒です。しきたりが全てではありませんので柔軟に対応することをお勧めいたします。

 

ユンヂチをよいきかっけに

次のユンヂチは2020年5月23日から6月20日までですが、最近は捨て月だけでなく、ユンヂチがある年自体をユンヂチと呼ぶようになっています。つまり2020年の1月25日(旧暦1月1日)から2021年の2月11日(旧暦12月30日)までです。

旧暦は明治時代に切り替わった暦法ですが、沖縄では現在でも多くの行事が旧暦で行われています。カレンダーを見ても旧暦入りのカレンダーが沖縄の暮らしでは欠かせないものです。供養行事は昔からの決まりごとも多かったり、受け継がれるものなので親族間の調整も必要だったりと大変な面もあります。

お墓を建てたり改築、改装することはユンヂチではなく、いつでも可能ですが、数年に一度のユンヂチを良いきっかけとしてに準備を進めてみても良いかもしれませんね。